♪♪あるこー あるこー ろうかはー あるこー Sちゃん じょうずにー ゆっーくりあるくー(「さんぽ」の替え歌)教頭先生も、小さな友達も、みんなSちゃんと廊下を歩くとき、手をつないで歌う歌です。1年1組の思い出の歌です。
入学した小学校は、大きな校舎で廊下も長いのです。1年生は、みんな走りたくなる長い廊下。でも、みんなは先生に「走ってはいけません。」と言われました。「なぜ、走ってはいけないのでしょう。」と先生に聞かれて、考えた答えは「人とぶつかって、こけて、けがをするから。」でした。それから、みんなは、走るのを我慢して歩きました。ところが、いつも気持ちよさそうに走っているお友達がいます。Sちゃんです。タッタカターと走っています。言い聞かせても止めるのは無理でした。手をつないでも、走ろうとします。
うーん、どうしよう?A先生は困りました。手をつないで走るSちゃんを引き留めながら「さんぽ」のうたを歌うと、リズムに合わせてSちゃんがにこにこしながら歩きました。それからは、みんな、廊下でSちゃんを見つけたら、それぞれ自作の替え歌「さんぽ」を歌って、Sちゃんと1組の教室まで来るようになりました。にこにこ顔のSちゃんと歩くとき、みんなゆったりした幸せな顔になります。不思議です。
お母さんは、「ダウン症の友達を理解する本」をA先生に渡し、子どもたちに対応の仕方を教えてやってほしいと言いました。その本には「音楽が効果的」と書いてありました。やっぱりね。他にもいいヒントが・・・
夏休みに、特別支援アシスタントのY先生とA先生は一緒に、小さい頃から療育指導をしてくださっている柏学園で、Sちゃんのお勉強を見学しました。Y先生は、保育園の先生だったことがあるので、柏学園でのSちゃんのお勉強の内容がよく分かりました。柏学園の先生に聞いて小学校でのSちゃんのお勉強の計画を立てました。数字は3までを目指す。事物の対応 大小 目と手の対応 注視 視幅 全体と部分 などなど・・・
Y先生は、毎日1年1組で1時間はSちゃんと一緒にお勉強してくださいます。鉛筆を持った手を握ってもらって、線をたどる勉強は、大好きです。今では、自分で鉛筆を握って線をたどりますよ。ぴょんぴょん跳ぶことも大好き。40回も跳べます。図工は苦手なのですが、なんとかクリアー。遊具遊びも楽しめる物が増えてきました。
給食も大好き。Y先生と牛乳パックの小さな穴の紙をはぎ取ってストローを挿す練習をしました。今では先生が付き添わなくても友達と一緒に給食が食べられます。嫌いなおかずを残しているとA先生が「奥地に入れて、もぐもぐ、ごっくん」と言います。Sちゃんは「だめ?」と聞きます。先生が「ごっくん」というと、頑張って嫌いなおかずをもぐもぐごっくんします。すると、他のお友達も、残していた嫌いなおかずをもぐもぐごっくんします。
Sちゃんの周りのお友達は、Sちゃんと一緒に楽しく生活する優しい工夫をだんだん見つけていきました。Sちゃんが目的地に近づかないとき、追いかけるのではなく、「ようい、ドン」をして、少し前を走ったり、わざと負けて走ったり、Sちゃんとにこにこしながら目的地に到着します。友達の役に立てる喜びを感じながら。もちろんSちゃんも友達の面倒をみます。この前は、友達の忘れていた手提げ袋をさがして持ってきてあげました。人のお役に立てることは、みんな大好きです。
Sちゃんの周りのお友達は、友達が成長する姿をSちゃんの中に見取ってきてくれました。競争ではなくて、応援する中で友達が成長する姿を・・・これからもみんな一緒に大きくなーれ!
2008/4月号掲載
(Sちゃんの担任の先生が書いて下さったものです)
