職場体験実習2007年夏
職場体験実習
2007年 夏(第6回職場体験実習)
職場体験実習 実習場所
・安佐動物園 ・平和文化センター
・祇園保育園 ・こども文化科学館
・大河保育園 ・植物公園
・落合保育園 ・江波山気象館
・交通科学館 ・愛パック株式会社
・宮島町老人デイケアセンター
ソーシャルスキルアップ支援事業の内容
1.事前学習会 2007.6.30
(参加者)ジョブサポーター
玉井邦夫氏 (山梨大学准教授)
「ダウン症とは?」
「ダウン症本人のソーシャルスキルアップ」
先輩ジョブサポーター
「職場体験実習とジョブサポーター」
2.マナー講座 2007.7.21
(参加者)実習生本人、ジョブサポーター
アンデルセンサービス教育チーム
「接客マナー、ビジネスマナー」
3.職場体験実習 2007.8.6~2007.8.31
15人の実習生と22人のジョブサポーターがペアーで、11箇所の職場で実習
4.フォローアップ研修会 2007.9.1
(参加者)実習生本人、保護者、ジョブサポーター
情報交換と反省会 「ジョブサポーターのレベルアップ」
5.まとめの会 2007.9.1
(参加者)関係者全員
「職場体験実習の成果と課題」「よりよい実習をめざして」
大学生と一般の方々が、ジョブサポーターとして各職場で本人たちをサポートするために、事前学習会を実施しました。
また、先輩ジョブサポーター2名から、サポートの体験談やアドバイスを聞きました。
ジョブサポーター募集のための活動
職場体験実習はジョブサポーターなしではできない事業です。本人達だけでは受け入れてくださる職場も限られるし、保護者も不安で、職場に入るのが難しくなります。
そのように大事な仕事を担うジョブサポーターを募集するために、私たち、えんぜるふぃっしゅ、ユースクラスは色々な活動をしています。そのひとつが、各大学の大学祭に参加し、写真展とコーヒーサービスをしています。その場で学生の皆さんや、先生方、保護者の皆さんに話をしています。
2007年の秋には、4大学で写真展、コーヒーサービスを行いました。
実習の様子
江波山気象館
8月8、9日の2日間、3人の実習生と5人のジョブサポーターが実習に参加しました。
3種類の仕事内容(チケットもぎり、ビデオ映写、館内整理、掃除)を3組の実習参加者が1時間ずつ、各職種を順番に回ってがんばりました。玄関での仕事は券売機案内、チケットもぎり、案内と沢山あるうえに、今年はピンポン玉のなだれ体験へのお客さんが大変多く、ジョブサポーター2人体制にしました。実習生は8時45分から職員の方からの丁寧な説明を聞き、9時からスタンバイしました。玄関での「いらっしゃいませ」の声、「ビデオ始めます」の映写室での声も段々大きくなりました。整理、掃除の担当も始めはジョブサポーターが声かけしていましたが、やがて自分から気がついて、丁寧にゴミ拾い、拭き掃除をし、職員の方から褒められる場面もありました。終わってからの本人達の笑顔と、嬉しそうな声に、「仕事ができた!」という嬉しさと、誰かのために何かやる喜びを感じていることをあらわしていました。職場の方の細やかな配慮に感謝でした。
植物公園
8月20・21日の2日間、中学1年生とジョブサポーターが、20・21・23・27日の4日間、高校生とジョブサポーターが実習に参加しました。
暑い日が続いていましたが、半日ベゴニア温室、大温室、戸外で花かす拾いをしました。床には沢山の花かすが落ちていて、次々の拾っていき、がんばりました。半日は玄関で、お客さんに「いらっしゃいませ」といいながら、パンフレットを渡しました。「ありがとう」と言って受け取ってくれたとき、嬉しかったそうです。
愛パック
8月27・29・31日の3日間、高校生とジョブサポーターが実習しました。コンビになどで売っているお弁当の箱を作りました。作業場に入る前に、白い制服、ズボン、帽子、長靴、マスクを身につけ、強い風の出る機械の前で消毒しました。弁当箱の完成品のチェック、ビニール袋に決められた数を居れ入れ、シールをし、ダンボールにおさめる仕事をしました。シールの前にビニールの袋の端っこを結ぶのが始めは難しかったけど、上手になりました。
平和文化センター
8月27日から30日まで、3人の高校生が3人のジョブサポーターと実習しました。
玄関でのパンフレット渡しでは、「いらっしゃいませ」と言いながらパンフレットを渡しましたが、お客さんが多く、全員に渡そうとがんばりました。
音声ガイドの返却コーナーでは、「ありがとうございました」と言って、受け取り、ガイド機をきれいに拭いて、入り口に返却に行きました。この場所での実習に慣れて、てきぱき仕事ができる実習生もいました。
祇園保育園
8月8・9日の2日間、中学生の実習生とジョブサポーターが職場体験実習をしました。
本人にとっては3回目の実習を同じ場所でしているためとても慣れていて、子ども達の反応も「お姉さん先生」と言って、彼女と遊びたがる様子もありました。保育園への行き帰りも一人でし、自力でやる自信をつけたように思います。保護者も始めは気になっていたのが、あまり気にならなくなり、安心して実習させることができました。
落合保育園
8月22・23日の2日間、1人の高校生がジョブサポーターと共に参加しました。
初めての職場であらかじめ前もって打ち合わせの際、詳しく園内を見学、園児とも手を振って、和やかな雰囲気になりました。
3歳園児のクラスのお手伝いをしました。朝の挨拶、外遊び、部屋遊び、給食の手伝いをしました。
初めは恥ずかしい気持ちがありましたが、勇気をもって園児の中に入りました。頼もしい姿でした。
こども文化科学館
8月14日から17日の4日間、1人の高校生がジョブサポーターと実習を行いました。
プラネタリウムのチケットもぎりと、玄関受付での案内の仕事をしました。
近くのプールから帰りのこどもたちが沢山見学に来てくれて、たくさんの人でいっぱいでした。プラネタリウムは1時間に1回行われ、各開始時間の20分前からお客さんをお迎えし、チケットもぎりをしました。実習生の笑顔はとても印象的でした。楽しい実習でした。
交通科学館
8月8日から11日の4日間で1人の実習生と2人のジョブサポーターが実習に参加しました。
8月21日から24日の4日間にも実習生1人、ジョブサポーター2人が参加しました。
仕事内容は午前中は、掃除担当の方の指示で館内、館外の掃除、午後は入り口でのチケットにパンチを押す仕事をしました。
2人とも、2人のサポーターに2日づつ対応し、より多くの大学生のサポーターに接し、勉強になりました。
大河保育園
8月20・21日の2日間、高校生の実習生とジョブサポーターが実習に参加しました。
朝のお迎えは大きな声で挨拶し、外遊び、部屋遊びは子ども達の先頭に立って遊ぶことで、子ども達を遊びに引き込みました。実習生の楽しく遊ぶ姿が、子ども達を刺激したようです。給食の準備を手伝いました。
実習生本人は同じ職場での実習で慣れていたため、すぐに実習に入り込めました。回を重ねることの大切さを教えてくれました。
老人デイケアセンター
8月6日から9日まで4日間、1人の実習生と1人のジョブサポーターが実習に参加しました。
利用者さんのお迎え、「おはようございます」の挨拶、お茶を出したり、片付けたり、昼食の手伝い、食後のコーヒーのサービスなどが主な仕事でした。今回は大きな声で挨拶が出来るようになることが目標で、がんばりました。
仕事実習が終わって、センターから出てきた時の笑顔は、自信に満ちていました。
安佐動物園
8月7・8日の2日間、1人の実習生と1人のジョブサポーターが実習しました。小動物とのふれあいパークでの、糞掃除と、玄関でのパンフレット配りの二種類の仕事を体験しました。
とても暑い日中、戸外での糞掃除の仕事は大変でした。
絶え間なく体を動かして、がんばりました。
一時間毎に10分の休憩をして、飲み物を飲みました。小さなお客さんが見ている中、かっこ良かったです。
ジョブサポーターの感想
- 初めは本人がどれだけ仕事ができるか分からず、迷ったが案外きちんとできるので、嬉しかった。
- 二日間では目標が作りにくいので、4日間やりたかった。
- 本人のほうが、慣れていて、ジョブサポーターがついていく感じで頼もしかった。
- 受付などで、お客さんが少ない場合、暇になると、本人が逃げそうになり、厳しくするべきか、迷った。自分はやさしすぎたと思う。
- 本人の元気な声で挨拶するので、自分が出来ていないので、見習いたいと思った。
- 強く言った場合、怒られたと思い、落ち込んだが、きちんと謝ってがんばりたいといって、嬉しかった。
- 慣れのために、職員さんへの言葉使いが気になるときもあり、注意した。
- 今まで障害をもっている人に接したことがなく、こんなにも頑張る姿に、自分が励まされた。
- 誰かに役にたったという気持ちがもてて、嬉しかった。
- 慣れて、心が緩むためか本当の姿が出、注意することで見直し、回を重ねることが大切と思った。
ジョブサポーターAさんの感想
ジョブサポーターをやっての感想は、先ずはサポートのやり方についてです。私は2人の実習生のサポートをしました。2人共に厳しく接しました。厳しくしたほうが、これからの役にたつと思い、そうしました。挨拶や仕事のより良いやり方を教え、不満な顔や愚痴が出たら、なだめると言うよりは叱咤激励しました。そして、仕事が終わってから、沢山褒めました。実際、2人とも本当によく頑張っていました。毎回仕事に入る前に、「今日一日、2人でしっかり仕事をする」と約束してから入りました。仕事がしんどくなった時、「約束しただろ?」と声をかけました。そして、2人とも、めげずに良くがんばりました。終わったとき、このような私に、「ありがとう。自分に自信がついた」と言ってくれました。本当にうれしかったです。
5日間やってみて、私が感じたことは、正直言いますと、最初はかなり身構えていました。しかし、すぐに彼らが自分と何にも変わらない事に気づきました。冗談も言うし、失恋もするし、話せば話すほど、何も違わないと感じました。そして、仕事は教えれば教えるほど、うまくなりました。可能性の大きさをとても感じました。言葉もなれてしまい、だいたい何が言いたいか、すぐに、わかりました。彼らと私は何も違わない、ということが分かって本当に良かったと思います。
彼らは彼らの人生を精一杯楽しもうとしているのだと感じました。2人と話していて、自分の中に違う考えが生まれました。特にひとつの職場での3日間は、良い経験になりました。沢山の知的障害者の皆さんと共に仕事をし、食事もしましたが、毎日きつい仕事を頑張り、早起きもしている中で自分達の人生を楽しんでいる彼らに勇気付けられました。歳も同じころの彼らが今日も頑張っていると思うと、自然に「よし、俺も頑張ろう」という気持ちになります。
今回、彼らと出会う機会を与えていただき本当に感謝しています。
本人たちの感想
●楽しい実習ができた。
●職員の人に褒められて嬉しかった。
●ジョブサポーターに怒られたけど、仕事ができるようになってうれしかった。
●ジョブサポーターが初めてだったので、僕が教えてあげた。
●ジョブサポーターと仲良くなって楽しかった。
●暑いのに、外で掃除し、疲れた。でもおばさんが優しかった。
平成19年度夏の職場体験実習を終えて!
(財)日本ダウン症協会広島支部
えんぜるふぃっしゅ会長 広瀬 祥子
(財)日本ダウン症協会広島支部えんぜるふぃっしゅは、平成19年8月に中学生以上の若者のために6回目の職場体験実習を行いました。17人の本人と21人のジョブサポーターが参加しました。
今回は、広島市助成金交付事業として2年目で、第三回目のダウン症の若者のためのソーシャルスキルアップ支援事業として、職場体験実習を行いました。
職場体験実習の要の役目を担って下さったジョブサポーターの皆様、ジョブサポーターの募集のために配慮いただいた大学の先生方、暖かく実習を受け入れ本人達が楽しく意義深い実習ができるように支援下さった職場の皆様、ジョブ輪ポーターを指導して下さった玉井先生、ジョブサポーターとしての経験談を話して下さった先輩ジョブサポーターの皆様、マナー講座でしどうしてくださったアンデルセンサービスの皆様、広島市障害福祉課の皆様、その他、助けて下さった皆様、本当にありがとうございました。
職場体験実習も6回目となり、回を重ねることで、ダウン症の若者たちの大きな成長が見えるようになり、同年輩のジョブサポーターとの人間関係を楽しく深め合う機会となりました。ジョブサポーターにとっても、人間的成長の機会になっていることが感想文などで分かり、私たちは喜びを感じています。
今後ともご指導、ご支援をよろしくお願いします。